ピンインのzh・ch・shは、日本語の「ジ・チ・シ」をそのまま当てても正確に区別できません。三つは舌先を上の前歯の裏より少し後ろへ向ける点が共通し、zhとchは息を一度止めてから出す音、shは細い摩擦を続ける音です。舌を強く巻くことより、音を作る位置と息の違いを安定させることが大切です。
最初に三つの違いを整理する
| 音 | 作り方 | 息 | 単語例 |
|---|---|---|---|
| zh | 舌先側で息をせき止め、すぐ摩擦を伴って開放する | 弱い | 知道 zhīdao、中文 Zhōngwén |
| ch | zhとほぼ同じ位置から開放する | 強い | 吃饭 chīfàn、出去 chūqù |
| sh | 舌と上あごの隙間から摩擦音を続ける | 持続する | 老师 lǎoshī、说话 shuōhuà |
zhとchの中心的な違いは、日本語の濁音・清音ではなく、息を強く伴うかどうかです。標準中国語のzhもchも基本的に無声で、chが有気音、zhが無気音です。
舌の位置を作る
- 口とあごの力を抜き、舌先を上の前歯のすぐ裏へ置く。
- 舌先を上あごに沿って少しだけ後ろへ移す。
- 舌先を強く押し付けず、その周辺で狭い通り道を作る。
- 唇を日本語の「シ」ほど強く横へ引かない。
- 同じ位置を保ち、zh、ch、shの順に息だけ変える。
「反り舌音」という名前から、舌先を喉の方へ大きく巻く必要はありません。巻きすぎると音がこもり、母音へ滑らかにつながりません。舌の反り具合には話者差もあるため、信頼できる標準中国語音声と自分の録音を比べます。
zhとchは紙で息を比べる
薄い紙を口の前に垂らし、zhīとchīを交互に発音します。zhīでは紙の動きが小さく、chīでは息で大きく動くのが目安です。
zhī — chī/息が弱い音と強い音
zhǎo — chǎo/找「探す」と炒「炒める」
zhù — chù/住「住む」と处「場所・処」
紙を吹くこと自体が目的ではありません。chで息だけを先に出したり、母音を必要以上に伸ばしたりせず、一音節の中で子音から母音へつなぎます。
shは息を止めずに摩擦を続ける
shでは、zh・chのように完全にせき止めて開放せず、狭い隙間へ息を流します。sh——と子音だけを短く伸ばし、摩擦が安定したら母音を付けます。
shū 书/本
shí 十/十
shǎo 少/少ない
shì 是/〜である
日本語の「シ」は舌の前の広い部分を使いやすく、shより前で音が作られます。shiを「シー」とカタカナだけで覚えると、xiへ近づきやすくなります。
z・c・sとは舌の前後が違う
z・c・sは舌先を上の前歯の裏付近へ近づけ、zh・ch・shより前で作ります。息の関係はzとzhが無気音、cとchが有気音、sとshが摩擦音という対応です。
| 前で作る音 | 後ろで作る音 | 実在語の比較 |
|---|---|---|
| zá 杂 | zhá 闸 | 雑多な/水門 |
| zǎo 早 | zhǎo 找 | 早い/探す |
| cū 粗 | chū 出 | 粗い/出る |
| cūn 村 | chūn 春 | 村/春 |
| sì 四 | shì 是 | 四/〜である |
| sōu 搜 | shōu 收 | 捜す/受け取る |
文字を見て読むだけでなく、二語をランダムにした音声を聞き、左か右かを判定します。自分で読むときは、z・c・sで舌を前、zh・ch・shで少し後ろへ移します。
j・q・xとは舌先の上下が違う
j・q・xでは舌先を下の前歯の裏付近に置き、舌の前の広い部分を上あごへ近づけます。zh・ch・shでは舌先側を上へ向けるため、二組を同じ位置で発音しません。
zhī — jī/只・知などのzhと、鸡「鶏」のj
chī — qī/吃「食べる」と七「七」
shī — xī/师「教師」と西「西」
鏡では口内の細部が見えにくいため、舌先が上へ向いているか、下の前歯側にあるかを感覚で確認します。交互に読むと、舌の上下の切り替えが分かります。
zhi・chi・shiのiは普通の「イ」ではない
zhi、chi、shiのiは、ji、qi、xiのiや、日本語の「イ」と同じ音ではありません。zh・ch・shを作った舌の位置を大きく変えず、子音に続く音として一音節にまとめます。
| 組 | 舌先 | 聞き分け例 |
|---|---|---|
| zhi・chi・shi | 上側・やや後ろ | zhī、chī、shī |
| ji・qi・xi | 下の前歯側 | jī、qī、xī |
ローマ字のiを一律に「イ」と読まず、音節全体の模範音声を覚えます。
単音から短文へ進む
- 子音:zh・ch・shの位置と息を確認する。
- 音節:zhī・chī・shīを四声で読む。
- 単語:知道、吃饭、老师を一まとまりで読む。
- 対比:zǎo/zhǎo、cū/chū、sì/shìを交互に読む。
- 短文:意味を考えながら通常の速さへ近づける。
我知道。Wǒ zhīdao./知っています。
我吃中国菜。Wǒ chī Zhōngguó cài./中国料理を食べます。
这是老师的书。Zhè shì lǎoshī de shū./これは先生の本です。
春天出去走走。Chūntiān chūqu zǒuzou./春に外へ出て少し歩きます。
一音節では正しくても、文になると舌が前へ戻ることがあります。最初は意味のまとまりごとに区切り、正確さを保ったまま間を短くします。
聞き取り練習の手順
- z・c・sとzh・ch・shを含む実在語を5組選ぶ。
- 文字を見ながら音声を聞き、舌の位置を想像する。
- 文字を隠し、聞こえた語を書き取る。
- 誤答を「前後」「息」「摩擦」のどこで迷ったか分類する。
- 同じ語を短文の中でも聞く。
単語だけで満点でも、文中では軽声や前後の音の影響で聞こえ方が変わります。単語音声と自然な文の両方を使います。
録音では四点を確認する
- zh・ch・shで舌を巻きすぎて音がこもっていないか。
- chの直後に十分な息が出ているか。
- zhを日本語の濁った「ジ」だけで作っていないか。
- shが日本語の「シ」やxiと同じ位置になっていないか。
自分の録音を模範音声と交互に再生します。最初から速さを合わせるより、舌の位置、息、声調、速度の順に直します。
一日15分の練習
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 3分 | 舌の位置を作り、zh・ch・shを単独で比べる |
| 3分 | 紙を使ってzhとchの息を確認する |
| 3分 | z・c・sとの実在語5組を聞き分ける |
| 3分 | 知道、吃饭、老师を含む短文を録音する |
| 3分 | 模範音声と比べ、一つだけ修正して再録音する |
よくある間違い
- 舌を大きく巻き、喉の奥でこもった音を作る。
- zhとchを日本語の濁音・清音だけで区別する。
- chの息を、母音の後から強く吹き出す。
- shiを日本語の「シー」と読む。
- zhi・chi・shiのiを普通の「イ」にする。
- z・c・sとの違いを息だけで判断し、舌の前後を変えない。
- j・q・xでも舌先を上へ向ける。
- 単音だけ練習し、単語や文で確認しない。
練習問題
- zhとchの中心的な違いを説明する。
- shはzh・chと息の流れがどう違うか。
- 早 zǎoと找 zhǎoでは、どちらが舌を後ろに置くか。
- 粗 cūと出 chūでは、どちらも息が強い。違いは何か。
- 四 sìと是 shìを交互に読む。
- chiとqiでは舌先の位置がどう違うか。
- 这是老师的书。を録音し、zhと二つのshを確認する。
解答:1 ほぼ同じ位置で、zhは息が弱い無気音、chは息が強い有気音です。2 shは息を完全に止めず、摩擦を続けます。3 找 zhǎo。4 cは前歯の裏付近、chはそれより後ろで作ります。5 sìは前、shìは後ろで摩擦を作ります。6 chiは舌先を上側へ、qiは舌先を下の前歯側へ置きます。7 zhè、shì、lǎoshī、shūの位置を一音節ずつ確認します。
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