日本語の「すみません」は、呼びかけにも謝罪にも、ときには感謝にも使えます。ヘブライ語を学ぶときは、日本語の一語をそのまま置き換えるより、「注意を向けてもらう」「謝る」「頼む」「お礼を言う」に分けて考えると整理できます。
今回は סליחה(slikha)と בבקשה(bevakasha)が中心です。「ありがとう」の文字と音の詳しい復習はトダの読み方の記事に譲り、ここでは会話での役割を見ます。
呼びかける「すみません」は slikha
סליחה(slikha)は、相手の注意を向けてもらう「すみません」に使えます。受付で質問を始めたいときなど、まだ相手がこちらを見ていない場面を思い浮かべましょう。何か悪いことをしたという意味に限りません。
まずこの一語で呼びかけ、相手の反応を待ちます。返事が来てから質問や用件へ進めば、長い文を最初から一息で言う必要はありません。反対に、呼びかけの一語だけでは「何を頼みたいのか」までは伝わらないことも覚えておきましょう。
謝る「ごめんなさい」も同じ語
うっかり相手にぶつかった、作業を遮ってしまった。こうした場面の「ごめんなさい」にも סליחה(slikha)が使えます。同じ綴りでも、これから話しかけるのか、起きたことを謝っているのかで日本語訳が変わります。
Pealimの辞書項目では「許し・容赦」に当たる名詞として確認できます。また、テルアビブ大学の学生ハンドブック、冊子53ページは「Sorry / Excuse me」の両方を示しています。大きな迷惑をかけたときまで、この一語で必ず十分という意味ではありません。
slikha の kh は「ハ」で固定しない
このページでは、発音の手がかりを slikha と書きます。資料によっては slicha ですが、ここでの ch は英語の「チ」ではありません。kh は、口の奥で空気をこすらせる音を示す簡易表記です。カナの「スリハー」だけで覚えると、日本語のハ行に寄りすぎるため、ラテン文字も併せて見てください。
カナだけではこの音を正確に表せません。無理に喉を締めず、最初の sl の間へ余分な母音を大きく挟まないことから練習します。音と転写の対応はワイツマン研究所内の転写・発音解説も参考になります。発音には話者・地域による違いがあり、ここで示す読み方がすべての話者の音を表すわけではありません。ラテン文字にアクセント記号は付けていません。
頼むときと、お礼に返すときの bevakasha
בבקשה(bevakasha/ベヴァカシャ)は、依頼に添える「お願いします」です。まずは文の部品を増やしすぎず、「静かに」を表す שקט(sheket/シェケト)と組み合わせてみます。שקט, בבקשה.(Sheket, bevakasha.)で「静かにお願いします」です。
sheket の語形はPealimの辞書項目、この依頼表現はHebrewPod101の教室表現教材で確認できます。ここでは語順を覚えるための例です。実際に人へ静かにしてもらうときは、言い方や状況にも気を配りましょう。
一方、相手が תודה(toda/トダ)「ありがとう」と言った後の בבקשה は「どういたしまして」。こちらは新しいお願いではなく、お礼への返答です。同じ語の二つの役割は、大学ハンドブックの「Please / you’re welcome」の項目でも確認できます。
短い会話で前後を読む
次は練習用の対話です。受付で相手に気づいてもらう場面:
A:סליחה.(Slikha.)「すみません。」
B:כן?(Ken?)「はい?」
ここから用件を伝えます。כן(ken)は「はい」。「私・はい・いいえ」の記事でも復習できます。
通路で二人がうっかりぶつかり、互いに謝る場面:
A:סליחה!(Slikha!)「ごめんなさい!」
B:סליחה!(Slikha!)「すみません!」
ここでは二人とも謝っています。Bの一語を「気にしないで」の意味で覚えないようにしましょう。
手伝ってもらった後:
A:תודה!(Toda!)「ありがとう!」
B:בבקשה!(Bevakasha!)「どういたしまして!」
日本語で「手伝ってもらってすみません」と思う場面でも、感謝を伝えたいなら toda を選びます。slikha を感謝の万能な代用品にはしません。
役割を選ぶ練習
①受付で注意を向けてもらう「すみません」。②ぶつかって「ごめんなさい」。③手伝ってもらい「ありがとう」。④そのお礼への「どういたしまして」。それぞれ本文の一語で答えましょう。⑤「静かにお願いします」を二語で作ってください。
解答と理由を見る
①②は סליחה(slikha)。呼びかけか謝罪かは場面で決まります。③は תודה(toda)。④は בבקשה(bevakasha)。⑤は שקט, בבקשה.(Sheket, bevakasha.)。④は返答、⑤は依頼という違いがあります。
単語を覚えたら「いま自分は何をしたいのか」を日本語で一度言ってから発音しましょう。学習項目の一覧はヘブライ語の学習入口で確認できます。
